期間従業員が社員を目指すために持つべき心構え(私見)

2019年9月10日

社員登用を目指すために必要なことってなんでしょう。トヨタ自動車に関して言えば、「当たり前のことを当たり前にやる」の1点に尽きそうです。噛み砕いて行きます。

期間従業員から正社員になりたい場合どうすればいいですか?

トヨタ自動車の場合、求められる人材というのは「安全作業が遵守でき」「多工程の作業ができ」「他の作業者の指導ができ」「組長になれそうな人」。

まじめとかやる気があるとか、そういう当たり前すぎることは置いておきます。

日頃の過ごし方を見られている

正社員になりたい、だから社員の前、特にTLや組長の前で猛烈アピールする人をよく見かけますけど、それはちょっと違うんじゃないかと思っています。

普段の仕事に対する取り組み方がまずベース。

例えば作業が標準作業通りかどうか?教えられた通りのコツや急所が守れているか?自己流になっていないか?などなど。

中でもライン停止中の動きは重要で、他の作業者と雑談しているのはもってのほか。改善活動や4Sをやっているかどうかがキモです。

TLは社員とのコミュニケーションで「あいつどう?」とちょこちょこ聞いて回っていますから、まずは90層あたりから、仕事に対する信頼を得ない限り、職場推薦はまず得られないと思った方がいいようです。

報・連・相をしっかりできているか

各工程にはそれぞれ「今年の目標」や「組長の目指すところ」とか「対策課題」があると思います。「うちの組はまずこの不良・不具合への対策をやっていく」という感じのものです。

TLの取り組み課題はそこから降りてきますし、まずはこれを徹底してやるように、という指示がそれぞれに降りてきているはずです。

それに対して、自分なりに仮説を持ち、TLに対して相談してみてください。「こうした方がいいと思うんですけどやってみてもいいですか?」とか。それが良いと言われれば実践、ダメと言われれば別を提案する、の繰り返しです。

とにかく自分も一因となって課題解決に動いているよとアピールすることです。

ただこれ、赴任したての人は要注意です。赴任後間もない人は、まずは自工程を完璧にできるようになったほうがいいです。でも、自工程での理解度の報告などは適宜やっていくようにしたほうがいいです。やっと間に合うようになった、急所が理解できた、改善ができた、など、そういう報告や連絡は積極的にやっていくべきです。

提出物は一番早く出す

社員希望者の多くは社員になることがゴールになってて見え見えだから、なかなか応援されない(期間工上がりの社員談)

なかなか奥が深いです。

上司にとって理想の部下像がわかってる人は強いです。要するに、こいつがいたら苦労しないだろうと思わせたら応援してくれるわけです。当然ですよね。その苦労しないなと思わせられるポイントが提出物です。ちなみに9月になってもうヒヤリハットは書き終えました。創意くふうも出しました。その他提出物も終わってます。

これが続くとどうなるか。

「さすがやな」と言われるわけです。早く出す、それだけで評価される。安くないですか?

だいたい月末に催促されて出しますよね。「あれどうなった?」と言われてから報告しますよね。前もって行動するからこそ、こいつと一緒に働きたいと思われるわけですし、社員になったあとも大丈夫だろうと思ってもらえるわけです。

誰でもできる作業だからこそ、誰もが均一な作業だからこそ、こうした小さな日々の積み重ねが大事。

組長とすれ違う時はチャンスタイム

工程に組長が回って来ますよね。忙しそうでない時、なおかつ自分の作業が手が空いた時は、すかさず組長を捕まえて、今考えてる課題や気になっていることなどを相談しましょう。

日頃常に何か課題を見つけようとしている、仮説検証を繰り返している、その辺の社員以上に工程の改善に力を入れている。創意くふうはついでに出すくらいの感じでいいはずです。

もちろんTLも一緒です。工長はダメかな、仲がよければいいと思いますが、私は挨拶こそしますが、対話は向こうからアプローチされるまで、こちらからは行きません。ただ多分、提出した創意くふうの現場確認は工長がやると思うので、自分の工程で創意くふうを出し、高額案件として認められれば向こうからアプローチしてくれるはずです。

「創意くふうは何枚だせばいいですか?」なる質問がありましたが、「応援したくなる程度」です。最低3枚だと言われますが、5枚が10枚でもいいと思います。しっかりやってるな、と思う枚数って人によって違いますしね。組長やTLがうなるくらいの枚数を毎月出す。インパクトを与えようとするなら組で一番枚数を書く、でしょうか。

周りを巻き込め!

じゃぁあれやろうか!とTLと一緒に取り組んだり、全体が作業しやすくなることを周りの人と一緒にやる。一人でではなく、複数人で社員登用に挑むくらいの気持ちが大事。
他の人がやろうとしていることに積極的に協力していく、新しいことにどんどん挑戦させてもらう、そういう姿勢、重要。

社員登用を目指すための心構え

以上のことから、社員登用を希望する場合は、日頃の過ごし方が重要だよということです。工程でリーダーシップをとるとか、組長にアピールするとか、やる気をアピールしたり、そういうことも大事ですが、仕事に対して社員以上に真剣に取り組む、とりわけ改善活動と4Sを積極的にやって、その都度 報・連・相を欠かさないということが大事です。

4RKYで役をやるとか、QCサークルで発言するとか、イベントごとに参加するとか、そういうのはおまけであって、重要なことは「いかに『あいつが居てくれたら助かる』と思わせられる信頼を得るか」です。それができれば、社員希望を出していなくとも、向こうから誘いが来るはずです。「なんで受けないの?」と。

ちなみに

社員試験受けてないし、社員になろうともしてないですから、知ったかぶんなってお叱りを受けそうな記事ですけど、信じるも信じないも。取捨選択してください。

ただ、多数の社員から「お前受けたら絶対受かるだろ」「お前がなるなら全力で応援してやる」と言われる期間工からの社外秘に引っかからない程度のレポートとしてはこれが限度。ちなみにもう35歳に近いです。

トヨタ自動車に関する本はかなり読み込みましたが、現場の上の人が大事にしてることはだいたい本に書いてある通りです。ちなみにそれをそのまま応用するだけで70層教育と同じ程度の知識が付くようです。トヨタには2階級上のつもりで動け、という考え方がありますから、期間従業員だと70層くらいのつもりで動く必要があるということかな。

あ、怪我とか遅刻欠席はダメです。めっちゃ優秀な人が社員試験受けましたけど、突発多すぎな理由でダメだったようです。怪我は安全意識が低いとみなされるのと、工程に超絶怒涛の大迷惑をかけてしまうので問題外です。

ちなみに私はライン止めまくってますけど、同じミスは2度としないからさほど問題ないらしい。同じミスを何度もしてしまうのは改めないとまずいけど。1度目は仕方ない、でも同じミスは2回繰り返さない、繰り返させない、それがトヨタ流。

ラインを止めるくらいのミスをやらかした場合は、その事態が2度と起こらない対策案を「自分が中心となって」模索していき、その後の報・連・相を必ず、欠かさずやりましょう。

トヨタ流で思い出したけど、企業文化がここまで浸透してる現場っていうのはなかなかありません。俺の好きにやらせてもらう的な発言をする組長でさえ、その根底はきちんとトヨタ流が流れているわけで、さすが教育の多い現場だなと思っています。

何が言いたいかというと、期間従業員の頃から社員のつもりで働かないと温度差で異物扱いになりますよってことです。期間従業員で複数の職場を転々としてきた人に多い「ラインってこんなもん」みたいな固定観念が、「なんか違うな」と思わせてしまう違和感につながるから注意したほうがいいかも。

郷に入っては郷に従え、トヨタに入ったら誰よりトヨタらしく動け。それが社員登用を希望するもっとも近道だとこの1年半で感じることですね。特に気張る必要もないです。当たり前のことを当たり前にやればそれで。