ホワイトカラーが効率化する方法をトヨタが伝授 | トヨタ公式ダンドリの教科書
トヨタ自動車株式会社の業務品質改善部という部署が発行している本がある。それが今回紹介する「トヨタ公式 ダンドリの教科書」。
この書籍はトヨタ自動車の工場で行われている「自工程完結」の考え方を横展開(トヨタで言う横展)させ、事務方でも応用するにはどうすれば良いか、ということに焦点を当てた本です。
つまり、いかに効率的にホワイトカラーが働くべきか、に着目した本ということ。
※今回のレビューはブルーカラーには面白くないと思います。ただ、社員登用を目指す人は必読。
トヨタ公式ダンドリの教科書 目次
- はじめに
- トヨタの仕事術にはじめて出会う人のために
- トヨタの仕事術とは何か
- トヨタの仕事術8つのポイント
- 仕事の目的・目標(到達レベル)を明確にする
- 仕事の最終的なアウトプットを明確にする
- 仕事の手順を明確にする
- 要所・要所で「これでよし」と判断できる基準を明確にする
- 各手順で必要なものを明確にする
- 要所・要所で「これでよし!」と自信を持って仕事を進める
- 仕事の結果と進め方を振り返る
- 仕事で得られた知見を伝承する
- トヨタの仕事術で、こんなに変わる
- トヨタの仕事術(自工程完結)のメリット
- おわりに
2016年11月に出版された書籍。さすがトヨタといったところで、順調に増刷されています。199ページで読みやすいが教科書なので網羅性も高い。社員教育を任された担当者が参考にすべき1冊としても役立ちそうです。
トヨタの仕事術とは?
本書中に紹介されている定義を抜粋すると、トヨタの仕事術とは
この「質の高さ」はブルーカラーに比べてホワイトカラーは極めて見えづらいですよね。
余談ですが、Webページ界隈も2015〜2016年中は「質の高いページ」という言葉に翻弄させられていました。質の高さ、今では「見る人にとって価値のあるページ」という、結局曖昧な内容に落ち着いています。
さて、この「質の高い仕事」を本書においては以下のように定義しています。
曖昧な部分が多いホワイトカラーにメスを入れる
ホワイトカラーと一言にいっても内容は多種多様なんですが、製造業のようにライン作業(○分間で○台作る)のような事細かなスケジュールはあまりなく、納期が長いことの方が多いですよね。
その上、エンドユーザーと接する職場なら最終的な提供物が明確ですが、報告書関係の提出であったり、調査内容の取りまとめとか、コンサルティングのようなサービス提供である場合は、お客様の求めるイメージとの乖離が大きくなりやすかったりします。
「だいたいこんな感じで〜」というのがまかり通っていることも珍しくないですし、一度提供したものの評価を検証することもそうそう行うものではありません。
結果として、気づいた時には信用を失いかけていることにも。
そういう「流れ」で終わりがちなホワイトカラーの仕事をしっかりとダンドリ、検証していきましょうというのが、この本で繰り返し言われていることです。
PDCAの分かりやすい本
ざっくり言えば、PDCAをわかりやすく噛み砕いてくれる一冊、なので、PDCAの本がどれも小難しいなと感じている人には最適といえます。
目的と目標を取り違えず、必要とされているアウトプットを明確にした上で、適宜確認ポイントを設定し、正しい結果に着地する。着地できたら問題点や良かったことを反省し、明文化して次につなげる。
何かの本で見た時には、トヨタの場合PDCAの間にSが入ってPDCSAになるというのが書いてありました。Sはスタンダード、標準化です。別の捉え方だとスタディだったりしますね。
漫画も一部使われていたり、見開き毎に図表があるページがほとんどなので、読みやすさが感じられます。
※読みやすさを示すもので、著作権の関係上読めない程度に画質を落としています。ご了承ください。
漫画で理解も進む。
活用できそうなシーン
会社内での提出書類、例えば企画書の作成であったりプロジェクト管理、セミナー等の運営計画などにはこの本は役立つと思います。
なぁなぁになってしまっている部署だと思う場合や、計画はいいのに実行がうまくいかない場合、なかなか上司がOKサインをだしてくれない場合などには一読すると解決法が見つかるやもしれません。
工場でも役にたつ
もともと工場の自工程完結の考え方を派生させたものなので、工場でも役立つ、というより工場の方が使い所が多いのではないかという印象。特に管理者・社員層はこの内容はしっかりと把握しておきたいところだろうと思います。報連相にも関わってくる内容でもあるから、新入社員や社歴の浅い人には頼もしい本。
一つひとつの作業をしっかりと準備してこなす。確かにトヨタらしい考え方だし、トヨタが直接教えてくれるこの本の意義は結構大きいかもしれません。
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