トヨタ社員はもう読んだ?『週刊東洋経済-経営者豊田章男 14ページ独占インタビュー』

豊田章男、日本自動車業界のトップをひた走る名経営者であり、我らがトヨタ自動車の代表取締役社長。

週刊東洋経済の4月9日号で社長の特集号が発刊されていたので、今回買って読んでみたレビューを書いてみます。

トヨタの正社員や、正社員を目指す人なら読んでおきたい内容だと思う。

東洋経済の豊田章男特集号の目次

  • 第一特集 経営者豊田章男 世界一トヨタを率いるリーダーの実像
  • どん底からはい上がったトヨタと豊田社長の2500日
  • 本誌独占インタビュー(14ページ)
  • 「章男社長」誕生まで53年
  • インタビュー・入社直後の先輩に直撃
  • インタビュー・伝説の技術者が語るトヨタと豊田章男の課題
  • コラム・トヨタ生産方式を築いた立役者たち
  • 5つのキーワードで読み解く章男流経営
  • インタビュー・業界ウォッチャーに問う 今のトヨタ、イケてますか?
  • 章男社長が教えを請う理由 年輪経営の師匠は”寒天の父”
  • 1000万台時代の組織大改正
  • 図解 カンパニー制で「もっといいクルマ」を目指す
  • 経団連「豊田会長」の現実味
  • 社長が強烈に意識するトヨタ80年の歴史
  • コラム・豊田綱領の真髄

14ページにわたるインタビューを含む、実に43ページに及ぶ豊田章男特集号、豊田章男とトヨタの今とこれからがよく分かる1冊に仕上がっていました。ボリュームとしては雑誌としてちょうどいい程度。

別記事でビットコインはじめ仮想通貨についてや、ビジネスマンの英語力上達法などもありましたので、興味がある方はついでにいかがでしょう。

さて、では早速ですが。

豊田章男の考える今とこれからが分かる本

2006年のリーマンショックから始まる混迷期。今でも「再出発の日」として振り返る2010年リコール問題・米国公聴会、そして2011年の東日本大震災を経て、2012年以降復活の兆しとなったトヨタ。

ここ数年で社長がよくテレビに出るなぁと思っている人も少なくないと思う。マツコデラックスしかり、

イチローとの会談したり、

メディア露出が増えているけど、社長にとっては嫌いらしく、目立ちたがり屋に見られたくない気持ちがある一方で、表に出ることで周囲の反応が顕著に違ってきたことが要因。

アップルでいうジョブズのプレゼンもそうだけど、社長は会社のブランドイメージを築き上げるという時代に入っていて、トップの動向は昔に比べて断然重要視されるようになってきているから、そういう面もあるかもしれないですけどね。

特にこういう大企業だと会社内にいても社長の声は届きづらいから、メディアを通じてこれからの会社の目指すところを知れる(知らしめる)効果もあると思う。

従業員をどう思っているか

33万人いるからね。だから、わかっているつもりになんかなっちゃいけない。

社員数も多く、契約方法も異なれば、国籍すら多種多様なトヨタのトップが従業員をどう考えているかについても触れられていて、全員に聞くのは無理だけども、わかってる人には聞いている、というスタンスだそう。

基本的には「みんな頑張ってくれてる」という事と、「ポジティブ環境になってきた」という事は繰り返し語られている。その結果として「いいクルマ」作りが可能になってきている。

春闘含め、長い目で見て欲しい

ちなみに春闘についても、儲けすぎと言われる事についても語られていましたが、まぁそうでしょうねという内容ですが、「もっと長い目で見て欲しい」という事だそう。

会社が赤字の時でも昇給してきたし、赤字にならない配当政策にこだわりたいという思いがあるらしい。利益が3兆円出た事についても、半分は税金で納税していることにこだわりがあり、社会貢献をしている事と、逆に赤字の時にはその社会貢献ができない事に負い目を感じているそうです。

社内外問わずステークホルダーに対しての種まきを続けていきたい思いはよく見て取れる内容でした。

ちなみに社長の考える経営のスパンは30年だそうです。2周できない期間ですね。

社長インタビューのまとめ

一通り目を通した上でではありますが、「もっといいクルマづくりをするために、関連会社を含む社員一人ひとりがトヨタの今後を自分のこととしてしっかり向き合っていく必要がある」ということに集約されるように思えた。それが昨今よく聞くところの「バッターボックスに立って」という言葉に表れているのかな。

手を変え品を変えやっている事の全てが成功ではない事や、子会社との関係性についても少しばかり触れられていた一方で、もう少し海外トヨタのことについても知りたかったし、現場の社員向けの話ももう少し聞きたかったなという印象。

この一冊で全てが分かる、というものでは決してないのが残念だけど、それでも今のトヨタが向いている方向や課題についてはざっくりと知ることができるので社員は必読かと。

半分くらいは、「豊田章男ってこんな仕事人生でした」っていう感じのものなので、読み足りないというか、もっと戦略論を聞きたかったなぁというのが私としてはあるかな。

本のテーマが「経営者 豊田章男」なので当たり前ではあるけど、一言でいえばこの本は「豊田章男が分かる本」であって「トヨタ自動車が分かる本」とは少し異なるのでその点だけは買う前に気をつけたほうがいいかもしれない。

雲の上っていうより別会社の社長感覚

さて追記になりますが、大企業すぎて豊田章男社長の影すら拝めない期間従業員しかり現場の面々。入社式以降関係がないという感じになることが多いかもしれない雲の上の人。

現場の人間にとってみれば、いわゆる代表者格は課長さんで、たまに部長が来れば大名行列またはぶら下がり取材みたいな一大イベントが展開される。

もはや豊田章男社長はどこか別会社のお偉いさんという印象を個人的には持っている。

あと、こういう偉い人たちが来る前に、これまた高給取りな方々が何時間も、時には何日もかけて掃除している姿を見ると、なんとも言えない気持ちにさせられる。

「あの人ずっと掃除してるけど時給○円くらいだからダスキンに頼んだほうが安いよね」と皮肉ったりしたものです。

たまに変な文化だなって感じるところがあるんですよね、トヨタって。